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March 07, 2006

波乱万丈セミドキュメント

セミドキュメントと銘打った赤裸々芝居を世に問うて岸田戯曲賞受賞の三浦氏率いる劇団ポツドールの新作を今週は観にいきます。まるで受賞に喧嘩を売るかのごとく、今回は特に性描写がシャレにならないことになっているらしく、観るほうもそれなりに覚悟がいるらしい。でもきっと、ロマンチカよりポツドールが、今の気分にはあってるような気がする。三浦氏は、だらだらした最低の日常を描かせたら日本一でしょう。たぶん。あまり気負わずに観にいこうと思います。

だらだらした日常の中に深刻な不幸がある現代日本にはもう語るべき大文字の物語はないということを際立たせるような意欲作、セミドキュメントというかメタフィクションというか、水村美苗の『本格小説』は極上の物語とノンフィクションの迫力を両方併せ持つ面白さでした。かなりの分量なのだけれども一気に読まずにはいられない怒涛の大河小説。そういう意味ではこれも覚悟がいる作品。つまり読み始めたら徹夜の覚悟。まるで波乱万丈のドラマをDVDで全巻借りて観ているかのごとく寝食忘れて読んでしまうこと請け合い。
よくある女流作家渾身の伝記ものと桐野 夏生のジェットコースターストーリーの良いところを凝縮して力強くも格調高く語りきった感じ。出てくる女性たちが皆それぞれに美しくてどこか意地が悪くて優しくてたまりません。戦前からの上流階級に属する人たちのことがすこーしわかったような気になりました。ちょっとちがうな「わかったような気がする」と思うことすら、おこがましいのよ!骨の髄から庶民のくせに!ということがわかったというか。倉橋由美子や三島由紀夫の書く上流階級描写は文学的すぎてそこんとこがぼんやりとしかわからなかった。
これを読んだ後に、森茉莉の『贅沢貧乏』を読んだら前に読んだときとまったく違う印象を受けました。

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Comments

本格小説はよいですよね~~。
わたしは今度は『続明暗』を読みたいなーと思って、先日未読だった漱石の『明暗』を借りてきたところです(そこからかよー)。

でも直さんが翻訳以外の小説を薦めるのって新鮮な気がします(笑)。
これからマキャモンの少年時代を読みまーす。

日本の小説より、翻訳小説のほうが情報少ないから紹介する価値があるかなあと。私も『明暗』からだわ!はは。
『少年時代』も良いですよん。
カードの『消えた少年たち』とちょっと似てるかも。あれは、文庫の斉藤由貴の解説がわろすのよね。モルモン教徒つながりオンリーで書かすなよ。

もし気に入ったら、『ブラックベリーワイン』もぜひ続けてどうぞ。『ショコラ』は読んでなくても大丈夫です。

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