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March 03, 2006

動物電気とシベリア少女鉄道

もうかなりの期間、劇場めぐりをサボっていました。
リアルタイムの定点観測でしか嗅ぎ取れないエッジとトレンド。だいぶ嗅覚も鈍ってしまいました。
毎回裏切らずに私のツボを押してくれる奴らは今どこにいるんでしょうか。

つまらない芝居を観ると、時間とお金の無駄なだけではなく、生きる気力(生体エネルギーとかHPとか)を奪われますからね。ハイリスクな賭けです。若いころはエネルギーが有り余ってるので多少吸い取られても、「つまんない芝居見せやがって、畜生、もし次に裏切ったら許さないから!」(←次も観に来る気)「金返せ!」(←お金以外は惜しくない)などといっていられましたが、今は続けてつまらない芝居を観たら、もう生きていくのが嫌になってしまうかもしれません。少なくとも帰り道に無表情で自分の選択を呪い、次の日会社にいくのが嫌になることは確かでしょう。

そういったわけでなるべく回り道せずに、活力を与えてくれる太陽のような舞台にめぐりあいたいもの。そして、幸運にも大当たりが出ればそれは一生の宝物。時々取り出しては眺める人生の宝石です。だから芝居見物はやめられない。

しばらくは勘を頼りに順次観にいこうと思います。
さて今週は初見の劇団を観にいきました。

動物電気 『豆ざむらい』
(下北沢 駅前劇場にて3/5まで)

動物電気諸君よ、君らが笑いをとることに情熱をかけてるのはわかる。でもごめんなさい、私はほぼ全編微苦笑でした。座長政岡さん扮する仲居の「私たち、NANAみたいよね!」だけはちょっと笑った。さすが座長の貫禄か、仲居同士の会話はいい味を出してました。いい奴らなんだろうなあ。友達になったら最高の連中という雰囲気が常に漂っていて、その親和力のためか、見ていて不快ということはありませんでしたが、CB*入りは確定。筋はちゃんとあって、不条理なのはすきあらばと唐突に入ってくるネタ部分と辻さんのキャラというか存在のみ。辻さんに比べたら「豆ざむらいさま」の方がリアルかと。それは褒め過ぎか。
ネタと筋がもう一段階有機的に連動、もしくはつきぬけて断絶するようになれば、素人くささが一掃されるでしょう。

*CB(○ャラ○ルボックスの略):「一回観たらもう充分」な劇団を入れる箱の極私的表現。

シベリア少女鉄道『ここでキスして。』
(新宿 紀伊國屋サザンシアターにて3/5まで)

『ここでキスして。』というタイトルは内容と何の関連もありません。わたしなら『怒髪天旅館Annex β1.2』とか『御宿Automatic』とかにするけどなあ。そういうベタなタイトルを背負ってあまりある洗練。もしも、もっと違う元ネタがあるということであれば誰か教えて。
ひとことでいうと、メタ・シチュエーションコメディ。ストレートプレイ流行りに真っ向から挑戦するかのごとき心意気や良し。
装置(リアル日本旅館、2階の客室、エレベータまである)や衣装はもちろんのこと、脚本、演技レベル、配役まで全般において「プチ三谷なシチュエーションコメディ」として充分に通用する水準の舞台を手抜き無しに作り込む。全ては怒涛の落ちのために。人生の悲喜劇や教訓など一切なし、おまけにカーテンコールもなしに突き落とす虚無のためだけに。かなり笑う。あれだけひっぱってやりたかったのはこれかよ!おい!手をたたいて喜ぶ。だってまさかああくるとは思わなかったよ。こういうの大好き。常連だったら、この茶番はいつまで続くわけ?といらいらしたかもしれないけど。茶番は茶番でそれなりに面白いものだからついひきこまれているところへ突然のエマージェンシー。今回の作品は初見でラッキーだったのかも。久々に「舞台でしか味わえない表現」にまんまとハメられて満足。ロビーにてリピーターの会話聞くに、前作はさらにマニア受けする凝った構成だったようです。シーンを口で説明するに困ってる様子からうかがい知れますことよ。

奇しくも2本とも旅館を舞台にしたコメディ。それがここまで違うとはね。二つの舞台を続けてみたことによる比較の楽しさがまた付加価値をつけてくれました。

ちなみに、実績からいうと私のお気に入り劇団よりCB入り劇団のほうが息が長く売れ筋である場合が多いのでシベリア少女鉄道よりも動物電気のほうが未来は明るいかもしれません。微妙。

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